大阪地方裁判所 昭和31年(ワ)983号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕広告業者である原告は、昭和二三年以来ポマード、香油など化粧品の製造販売業者たる被告の依頼を受けて、新聞雑誌等に被告の商品の広告を掲載する手続をとり、その広告料金を徴収していたが、被告の依頼により各紙に掲載した被告の商品の広告料金のうち(イ)昭和二七年一月の東京時事紙の広告料金八万二千円余、(ロ)同二八年五月、六月の朝日、毎日各紙の広告料金一二万六千円余、(ハ)同年三月の山陽新聞の広告料金三万円余がいずれも未払となつているとして、その支払を求めた。被告は、右各広告の委託をしたことを否認する。
判決は、(ロ)の広告は、原被告間の取引関係に徴し従来から委任関係のあつた広告と同種の広告で、被告が明示的ないし黙示的に広告の掲載を原告に依頼したものであること、しかし(ハ)の広告は従来の原被告間の委任関係から当然黙示の依頼があると看做されない一地方紙上の広告であつて、その宣伝効果も他の広告と異るもので、被告からその委任を受けていないこと、(イ)の広告も原被告間で契約せられた通常一般の広告でないので、(ハ)と同様被告の委任を受けていないのみならず(イ)、(ハ)の広告はいずれも被告の意思に反するものであることを認定したうえで、(ロ)の広告料金の請求は認容したが、(イ)、(ハ)の広告料金については次のように判示して原告の請求を容れなかつた。
「広告業者が顧客から依頼を受けないで、顧客のために顧客の商品の宣伝の広告を新聞雑誌に掲載するのは、法律関係としては事務管理に該当し、それが顧客の意思に反するときは顧客が利益を受けた限度で、一般の場合は広告業者が支出した実費の限度で、顧客は広告業者に事務管理の費用を支払うべきもので、顧客に全然その費用を支払う義務のない性質の広告ということはできない。よつて(イ)、(ハ)の広告は、被告の依頼に基かないもので、かつ右広告は被告の意思に反するものであるから、原告は被告に対し被告が右広告によつて商品の宣伝上受けた利益の限度で右広告費用の償還を請求できるわけであるが、被告の受けた利益の数額についての立証がないから、原告の前記(イ)、(ハ)の広告料金の請求はこれを棄却する。」